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2010年5月28日

ワーク・ライフ・バランス。その「ワーク」の定義に物申す!

独立行政法人労働政策研究・研修機構が発行する『日本労働研究雑誌』。その2010年6月号(No.599)が、ワーク・ライフ・バランスの概念と現状について特集を組んでいる。その中で発表されている、一橋大学名誉教授である斎藤修氏のワーク・ライフ・バランスに関する提言が興味深い。

斎藤氏は現在、イギリスのケンブリッジに滞在しており、提言は滞在地での体験を元に行われている。同氏はイギリスのマジストレートの仕事(6世紀もの伝統をもつ、地域の法廷で刑事裁判を担当するジャッジのこと)を例に挙げ、ワーク・ライフ・バランスにおける「ワーク」の定義のあいまいさについて、問題を提起する。

「(マジストレートは)昔もいまも法律とは無縁のひとが勤めることの想定されている、ボランタリィな職である。(中略)交通費や(有給休暇がとれなかった場合の)収入減少分の請求はできるというが、仕事自体にたいする報酬はまったくない。したがって通常の有業者の定義に入りにくい「ワーク」ではある。けれども、仕事の内容をみれば、給料を得てやっている裁判官のそれとちっとも変わらない。法廷で被告や警察のいうことを注意深く聞き、証拠に目を通し、判決を下す。(中略)統計によれば、刑事犯罪の95%はマジストレートが扱っているという。社会の根幹を担う、立派な「ワーク」である」

こうした、従来のワークの定義に収まりにくい“ボランタリィなワーク”は、個人にとっては「ワーク」である一方、雇用する側にしてみれば個人の「ライフ」として映る2面性を持っているといえる。

斉藤氏がいうように、これまでのワーク・ライフ・バランスをめぐる議論に、上記のようなワークの存在は意識されていなかった。しかし、マジストレートと同様、ボランタリィで社会の根幹にかかわる職は、地域の民生委員や消防団、あるいは昨年秋から始まった裁判員制度のように、日本においても存在する。

今後、労働者のワーク・ライフ・バランスに対する意識が高まっていくに従い、企業が本腰を上げて取り組みを始めるであろうことは想像に難くない。ただ、形だけのワーク・ライフ・バランスを推し進めれば良いのではなく、上記のような例にも配慮を示す「細やかさ」を持っているか否かが、人材をマネジメントする立場の経営陣やコンサルタントの評価の分かれ目になるかもしれない。

http://pro.type.jp/s/news/n100528.phpより抜粋


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